お江戸下町顛末記
わたしの神田がえらいことになったなって、大体いつも出勤すると思ってるんですけど、今日の神田もね、もーお江戸が大騒ぎ☆ってくらいのてんやわんやさで。
お江戸がっつーか、わたしがっつーか。
まずね、朝からランチに合わせて出勤するんですけど、今日は時間に余裕持って来れたんでよかったんですけどね。
30分前でだいぶ悠々としちゃうなってくらいの余裕ぶり。
一服と言わず二服くらいはしちゃったよね。
そこまでは恙無い空気、確かに醸し出してた。
給料日後で晴れてたからかな。
もー今までにないってくらいの大盛況ぶりに厨房もホールも大わらわ。
「オーダーお願いしまーす!」「はーいっ!」ってやったかと思えば「お会計ー!」「はーいっ!」って振り向いた途端「スーザン、定食出るからスープとご飯一丁!」って、何度も言うけどスーザンじゃねぇっつーの!
百歩譲ってこの際スーザンでもいい。
しかし、わたしの体は一つしかないし、ピロポン(同期のお姉さん)の体も一つしかないし、今ピロポンは二階でオーダー取ってていねぇー!
目の前のおっちゃんは今まさに財布から千円出しちゃってるー!
ああ、MAさんの目が「スープとご飯」て訴えてるー!
こんなに千手観音が羨ましいと思ったことなかった。
ちょっとEXILEのアレみたいとか思ってて、ほんとごめん。
やっぱさ、神様ってのは格が違う。
わたしが祀られることはきっとない。
で、神田でちょっと悟り開きつつある頃、だいぶ早めにランチ完売しちゃって、軽く意識が飛んだ頃には一回あがりの時間になってました。
気が付いたらサラダうどん食ってた。
ちょっと休憩して夕方また仕事の時間になってね、
夜は暇かなー、どうかなーって和やかにやってたら、MAさんから突然「秋葉原にお使い行ける?」って、やって来ました、初めてのお使いコース。
けどね、そこはわたしも、ちょっと見越してるとこあった。
今日は来るなって予感があった。
ああ、えぇえぇ、秋葉原でしょう?
すぐお隣のあそこでしょう?
え?行けるかって?
見くびってもらっちゃ困る。
秋葉原なんてね、こないだとっくに予習済みだっつーの。
見くびってたのは自分の方向音痴だったってことに気付いたのは、
岩本町の看板を目にした時かな。
あれだけ「あそこ左ね!」ってしつこく言われてオーケーオーケー言ってたのに、自信満々に右に曲がってたわたしは、一体何がオーケーだったの?
片手に持ったGoogleMAPが泣いてた。
岩本町の交番のお巡りさんも「君、大丈夫?」つってた。
ちっとも大丈夫じゃありませんでした。
そんな毎度毎度迷子になって帰ってくるわたしを「今日は早かったねー!」つって迎えてくれるMAさんの優しさが、身に沁みる今日この頃。
ああ、いいお店で働けてしあわせだなぁ・・・ってしみじみしてたらオープン前にグラスを割り、
オープンしたならオーダーを間違え、
MAさんからしたならね、おめぇしみじみしてる場合かっつー話にもなってくるわけです。
わたしへの扱いが雑にもなろうってもんです。
八時半くらいにはすっかり暇になり、ラストまでのはずがね、そりゃあがらされようってもんですよ。
しかし、そこでも優しさを遺憾なく発揮してくれた我らが店長は、賄いまで作ってくれたわけで、
さっさと着替えてこれまた悠々と食ってたら、まさかの当日大人数予約の電話が。
MA「スーザン、休憩入ってたんだよね!?」
「そ、そうそう!もー全然これ休憩だった!」
大急ぎで上だけ着替えて、結局ラストまでやり切りました。
オーダーはまたも間違えました。
終いには「ちゃんと見てあげられなくてごめんね」って、彼が謝ることは何もないのに「ドンマイ」って返してたよね。
どの口がドンマイ言うかっつーね。
ええ、わたしの可愛らしいお口から、つるっと出たんですけど。
いやー働くって楽しいわー。
いやー今日も活き活きしてたわー。
明日もきっと、お江戸下町は大騒ぎかなって、つーかね、明日もきっとわたしが一人で大騒ぎです。
皆、がんばってこーっ!オーッ!